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まだ発売もされていないゲームを設置してくれるという設置業者 — GTA 6

発売前のゲームの『流出版』と称して、100GBを超えるファイルが検索結果やコミュニティ、トレントに出回っています。インストールを押すとエラーが出て終わるように見えますが、その裏で遠隔操作・パスワード窃取・ファイル破壊プログラムが一度にインストールされます。ダウンロードする前に、そしてすでに実行してしまった場合に何をすべきかをまとめました。

玄関のベルが鳴ります。ドアを開けると、人の背丈ほどの箱が立っています。作業服を着た業者が言います。「ご注文の品を設置しに参りました。」注文した記憶はありませんが、欲しかった品物です。だからドアを開けてしまいます。

業者はリビングの真ん中でしばらくガサガサと作業をします。聞き取りにくい言葉で何かを説明した後、最後にこう言います。「申し訳ありません、正規品の認証が通りません。今日は設置できません。」そして箱を残して去っていきます。箱を開けてみると、中はほとんど発泡スチロールです。

「ああ、ダメだったのか。」ここで話が終わればいいのですが、本当の話は業者が去った後に始まります。業者がリビングにいたその数分の間に、家の鍵は複製され、天井には小さなカメラが取り付けられ、アルバムの中の写真は別の紙にすり替えられていました。

今週、セキュリティ企業が分析して公開した事件は、この場面と構造がまったく同じです。違う点はひとつだけです。その業者が設置してくれると言った品物は、まだ世に出てもいないゲームでした。


まず、自分の側で起きていること

GTA 6の発売を待っている人が、検索窓に「流出版」や「先行プレイ」と打ち込みます。検索結果の上位やゲームコミュニティの投稿にリンクが見えます。クリックすると、100GBを超えるイメージファイルをダウンロードすることになります。イメージファイルとは、ディスク一枚を丸ごとコピーした大きなファイルです。一晩かけてダウンロードするサイズです。

ダウンロードし終えて開くと、中にインストールファイルがあります。実行します。ロシア語の案内ウィンドウが表示されます。数ステップ進めると、最後に「ライセンスが見つかりません」というエラーが出て終わります。ゲームは起動しません。「クラックが効かないな」と言ってウィンドウを閉じます。

事実 分析企業Huntressによると、このエラーウィンドウは失敗の表示ではありません。ユーザーがインストールに失敗したと思っているその間に、悪意あるプログラムは**すでにインストールを終えています。**業者が「今日はダメですね」と言って出ていった後に、鍵の複製が残っているのと同じです。

事実 一度にインストールされるのは4種類です。遠隔操作トロイの木馬NJRAT(複数)とDCRAT、情報窃取プログラムMercurial Grabber、そして破壊目的で使われたChaosランサムウェアです。おまけに、ユーザーがインストールした覚えのないYandexブラウザまで現れます。トロイの木馬とは、役に立つプログラムのふりをして入り込み、中で別のことをするプログラムを指す言葉です。

事実 遠隔操作トロイの木馬にできることをBoanNews(保安ニュース)がまとめています。キーボードで打った文字の記録、ウェブカメラの起動、画面キャプチャ、コピー・ペーストした内容の横取り、PCの遠隔操作です。天井に取り付けられたカメラがこれです。自分がキーボードを叩いているのを、隣で見られているようなものです。

事実 情報窃取プログラムは、持っていくものを選んで持っていきます。ブラウザに保存しておいたパスワード、Discordトークン、暗号資産ウォレット情報、スクリーンショット、Windowsプロダクトキー、Minecraftセッション情報です。Discordトークンは、パスワードがなくても自分のアカウントにそのまま入れる入館証のようなものです。複製された家の鍵がこれです。

事実 そしてランサムウェアです。ランサムウェアは通常、ファイルをロックして金銭を要求するプログラムです。ところが今回のものは違います。200MBより小さいファイルは暗号化し、**それより大きいファイルはランダムなデータで上書きしてしまいます。**上書きされたファイルは、金を払っても戻ってきません。そもそも返すための仕組みがありません。そのため分析企業はこれを事実上の破壊型、ワイパーと呼んでいます。アルバムの中の写真が別の紙に変わっている、それがこの部分です。

事実 管理者権限で実行された場合は、もう一段階加わります。ファイルを壊す前に、Windowsのシャドウコピーを削除し、復元機能を無効にしてしまいます。シャドウコピーとは、Windowsが万一に備えてこっそり取っておくファイルの複製です。管理者権限は、家の鍵の中でもすべての部屋を開けるマスターキーです。それを渡してしまったら、業者は防犯カメラの録画まで消して出ていきます。

なぜ通用するのか — ドアを開けるのが自分だから

事実 この手口には脆弱性がありません。ブリーフにCVE番号がひとつもありません。CVEとは、ソフトウェアの既知のセキュリティホールに付けられる番号です。穴を突いて侵入したのではありません。**自分がダウンロードして、自分が実行しました。**業者がドアを壊して入ってきたのではなく、自分がドアを開けたのです。

事実 サイズが疑いを鈍らせます。ファイルは100GBを超えますが、その大部分は本物の大作ゲームに見せかけるために詰め込まれた無意味なデータです。実際の悪意ある部分はずっと小さいものです。箱が人の背丈ほどあるのに中が発泡スチロールである理由です。

推定 一晩かけてダウンロードしたという事実そのものが罠になります。時間をかけた分だけ「これが偽物のはずがない」という気持ちが強くなります。ダウンロードし終えたのに実行しないでいるのは難しいことです。サイズは本物である証拠ではなく、ただの数字です。

推定 エラーウィンドウも計算されたものと見られます。インストールが成功したというウィンドウが出れば、人はゲームを起動しようとし、起動しなければ何かおかしいと感じます。ところが最初から「ライセンスなし」と言われれば、「クラックが効かないのか」と自分で納得してしまいます。怒りをぶつける相手もいません。失敗した設置業者を通報する人はいません。

事実 そして最も重要な事実です。**公式デモは存在しません。**実際に流出した、プレイ可能なコピーがオンラインに出回っているという兆候もありません。まだ発売されていない品物を家まで持ってきて設置してくれるという業者は、その事実ひとつだけで偽物です。

数字で見た規模

今回の件で確認された数字は4つだけです。被害者数はどこにもありません。**3列目を一緒に見てください。**確認されたものと報道にしかないものが混ざっています。

数字 何か 出典
100GB以上 偽『流出版』イメージファイルのサイズ。大部分は詰め物データ Huntress(確認)
4種 一度の実行で一緒にインストールされる悪意あるプログラムの種類 Huntress・BoanNews(確認)
200MB このサイズを超えるファイルは暗号化ではなく上書き Huntress(確認)
0個 これまでに確認された本物の流出版・公式デモ Huntress(確認)
113GB 今年8月に別のセキュリティ企業が報告した、別件の偽流出版のサイズ DailySecu(報道のみ)

事実 100GBは、たいていのノートPCのストレージの大きな塊を占めるサイズです。ところがその重さの大部分が発泡スチロールです。サイズと本物かどうかは何の関係もありません。

事実 4種というのは、「ひとつだけ防げばいい」が通用しないという意味です。遠隔操作、パスワード窃取、ファイル破壊が同時に始まります。鍵だけ取り戻してもカメラが残り、カメラだけ外してもアルバムはすでにすり替えられています。

事実 200MBは思ったより低い敷居です。スマートフォンで撮った動画ひとつ、ゲームのセーブファイル、写真バックアップのまとまりは、ほとんどがこの線を超えます。超えた瞬間、ロックするのではなく壊します。

推定 0個がこの記事の結論です。本物がひとつもないのに『流出版』は出回り続けています。であれば、今出回っている『流出版』が何なのかは、計算するまでもありません。

事実 表の最後の行は今回の事件とは別件です。8月にKasperskyが113GBの偽GTA 6流出版を報告したと、DailySecuが伝えています。この記事で扱うHuntressの分析とは別のファイルです。同じ餌が別の悪意あるプログラムを載せて繰り返し出回っている、というところまでしかここでは言えません。

それで、今やること

やることは、ダウンロードする前と、ダウンロードした後に分かれます。

ひとつ。発売前に出回る『流出版・デモ・先行プレイ』ファイルはダウンロードしない。

これは判断が必要なことではありません。本物と確認されたものが0個です。だから『流出版』という名前が付いた瞬間に偽物です。検索結果の一番上にあっても、コミュニティで何人もが勧めていても、100GBを超えていても同じです。まだ発売もされていない品物を設置してくれるという業者は、玄関先で帰ってもらえばいいのです。

ふたつ。すでに実行してしまったなら、順番どおりにやる。

まず、そのPCのインターネットを切ります。LANケーブルを抜くか、Wi-Fiを切ります。遠隔操作はインターネットがなければ続きません。

次に別の機器でパスワードを変更します。ブラウザに保存していたパスワード、Discord、ゲームアカウントが優先です。感染したPCで変更してはいけません。キーボード入力を見ているプログラムの前で新しいパスワードを打ち込むことになるからです。

パスワードを変更したアカウントには2段階認証を有効にします。2段階認証とは、パスワードのほかにスマートフォンなどによる二つ目の確認をもうひとつ経るようにする仕組みです。鍵が複製されていても、二つ目のロックがあればドアはすぐには開きません。

最後にPCを初期化します。分析企業の勧告は完全な再インストールです。4種類が一度にインストールされたPCで、ひとつずつ探して消すのは現実的ではありません。

事実 こうした兆候があれば、すでに実行してしまったものと見るべきです。インストール中にロシア語の案内ウィンドウが出た。インストール後に「ライセンスなし」のエラーだけが出てゲームが起動しなかった。インストールした覚えのないYandexブラウザが現れた。写真や動画のような大きなファイルが突然開かなくなった。

事実 最新状態のWindows Defenderがこの悪意あるプログラムを検出できると、Help Net Securityが報じています。この部分は報道にしかありません。

推定 だから「Defenderが防いでくれるだろう」と思ってダウンロードしてみるのは、順番が間違っています。ウイルス対策ソフトはドアの内側に入ってきた業者を捕まえる装置であって、ドアを開けてもいいという許可証ではありません。最初にやること、ダウンロードしないことが、依然としてすべてです。

私たちが分からないこと

このブログは、確認されていないことを確認されたことのように書きません。今回の件でまだ分かっていないことです。

  • **韓国に被害者がいるかどうか分かりません。**どの報道にも国内の被害事例や被害者数はありません。そのためこの記事には被害規模を書いていません。
  • **誰が作ったのか分かりません。**ロシア語の案内ウィンドウとYandexブラウザから、ロシア語圏のユーザーを狙った可能性が指摘されているだけです。組織も国籍も確認されていません。この記事は攻撃主体を特定しません。
  • **GTA 6の正確な発売日をこの記事では確認していません。**Help Net Securityは発売まで3か月ほどと書いているだけです。
  • **Macやスマートフォンにも同じ危険があるかどうか分かりません。**分析されたのはWindows PC用の実行ファイルだけです。他の機器にも当てはまると言える根拠がありません。
  • **国内のコミュニティやトレントでこのファイルが実際に出回っているかは確認できませんでした。**流布経路はHuntressが観測したものを転記したものです。

この記事はHuntressの分析記事(2026-09-09)を一次出典とし、BoanNews・Help Net Securityの報道と照合しました。国内の被害の有無、攻撃主体、他のOSへの影響、国内での流通の有無は確認されていません。TheElecの記事は検索結果でのみ確認したため、発行日を記載できませんでした。

出典

一次出典から記載します。


この記事は私たちのハニーポット観測ではなく、他者の取材を材料に書いています。そのため攻撃タイムライン・MITRE・IOCブロックがありません — 存在しない資料を作って入れることはしません。数値は一次分析資料(Huntress, 2026-09-09)にあるものだけを使い、一次資料になく報道にしかない内容(Windows Defenderの検出、8月の113GB事例)は本文で「報じられています」として区別して書きました。攻撃主体の国籍・所属と国内の被害規模は確認されていないため、この記事には書いていません。真似できるコマンド・悪意あるアドレス・インストール手順は掲載しません。悪意あるプログラムの名前は一次資料で公開されているものだけを転記しました。ブリーフ基準日・発行日 2026-09-15。